アキエノート

アルパカとねこすけとハムスターと犬です。

レビュー:きらきらひかる

@numa08から誕生日にいただいた本です。 ありがとうございます!

江國香織の「きらきらひかる」を読みました。

きらきらひかる (新潮文庫)

きらきらひかる (新潮文庫)

好き同士の夫婦なのに、夫には彼氏がいるという話。 妻は鬱病かと思いきや、異常なし。むしろアル中。 でも、ときどき癇癪を起こす。

読んでいて、家の中の情景だとか、夫婦と恋人の関係だとかがリアルに描かれているので、スラスラと読めました。 語りは夫と妻の交互の語り。 二人が考えていること、なんでその行動をとったのかが分かって、感情が伝わってくるようでした。

切なくて、苦しくて、笑える一冊。

夫婦は相手のいいところ、悪いところを分かっているのに、夫には恋人がいます。 笑子と睦月と紺の3人。 睦月と紺はゲイの恋人同士で、笑子よりも付き合いが長いです。 笑子は二人が恋人同士なのを受け入れているし、他のゲイカップルを家に招いて仲良くなったりと、気さくな女性です。

家事の一切は睦月がやってくれて、笑子の唯一の仕事はベッドにアイロンをかけること。 まさに何もできない、私と夫だなとちょっと感情移入。 現在の私は、洗濯と洗い物しかしていないので……。

アル中の妻は年がら年中、登場する度に酒を飲んでますが、気持ち良さそうにしています。

睦月と紺の関係は長く、濃密な関係。 特に紺は少し変わっています。 でも、睦月のっである笑子とは仲がいいところが笑えます。

お見合い結婚の二人ですが、最初から結婚する気がないし、子どもいらないとの同意と、自分がゲイであることを打ち明けての結婚。 睦月が相手の親にうち明かすところはヒヤヒヤしました。

一方、笑子は義母から「赤ちゃんはまだ?」と直接言われたり、睦月に直談判をしたりと、子作りの問題に直面します。

笑子がゲイの婦人科の先生にかかるとき言った台詞がとても、切なかったです。 「睦月も紺くんの精子を混ぜて、子どもは産めないか」というような相談。 相当参っていたんだな、と読み取れます。

最後は、紺くんが同じマンションに引っ越してきて、ハッピーエンドのようですが、この三人の歪な関係を受け入れてる三人がなんだか、眩しいような不思議な関係だな。と思いました。

こんな結婚もありかな、と思いました。 最近、同性婚のような話題が増えているので、世の中も変わっていくのかな、と考えさせられる一面もありました。

切なくて、苦しくて、でも暖かい本でした。