@Pandora_Ovis さんから頂いた本のレビューです! ありがとうございます!!
今回は「凍りのくじら」を読みました。 才能と狂気、最後のハラハラした展開は辻村深月にしては珍しいような気がします。 特に伏線回収がうまく、まったく気づかなかったものもありました。
1冊で1作品ですか、特別長いと感じることもありませんでした。 私の中では、「憧れ」や「天才的な」「狂信的」というキーワードが浮かびましたが読みて側によっては違うかもしれません。
辻村深月作品に入る1冊目としてもいいかもしれません。
- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/11/14
- メディア: 文庫
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「凍りのくじら」という題名を見てなぜか「晴天の迷いクジラ」を思い出しましたが、ただのクジラつながりでした。
主人公の理帆子がプロのカメラマンになり、被写体と会うところから話が始まるのですが、最後まで読んで行くと、冒頭の意味が分かり、最後と合わせて読むと、かなり納得させられます。 あぁ〜ここに繫がるんだ!と。
それから、なにがすごいって題材に「ドラえもん」を選んでいるところ。 これが主人公の生きる糧であり、思考の矛先にもなるのですが、知らない道具ばかり出て来て、辻村深月さんはドラえもんがかなり好きなのか?!と思ってしまいました。
孤独が辛いとか、バカできる友達とか、独りでは歩けない男が描かれてますが、結構リアルかなと思います。 そんなとき、ドラえもんの道具があればと頭に浮かぶのも無理がありません。
失語症だと思っていた郁也が話せるとわかったシーンも感動的でした。 しかし、父親が実の娘には音楽の才能がなく、愛人の子にはその才能が受け継がれたというのは皮肉かなと思いました。 それだけに愛情深く接していたのもあると思います。
スロウハイツの神様とも接点があるところもまた面白いです。 スロウハイツを読んでから、こちらを読むのもいいと思いますが、スロウハイツは上下巻なので、「凍りのくじら」から入ってもいいかなぁと思いました。
私にはsukoshi funikigatigau本でした。